三菱重工業株式会社

 

「幅広いマイコンへの対応、リアルタイムOSとの高い協調性および短期間でスムースに導入できるツールとしての完成度が、採用のキーポイント」

三菱重工業株式会社 パワードメイン 原子力事業部(以下、三菱重工)は、原子力発電所の検査装置や作業を行うためのロボットを製作しています。今回、国家プロジェクトとして開発した消防ロボットにIARシステムズ(以下、IAR)のツールが採用されており、ユーザーインタビューを行いました。

 

2011年3月11日の東日本大震災の際に発生したコンビナート火災を経験して、人間の入れない危険なエリアで活動するロボットの開発をミッションのひとつに挙げており、「人とロボットの協調」を可能にする消防ロボット(写真)を開発しました。自動追従する放水ロボットと延長ホースロボット2台の台車制御部分の開発に統合開発環境IAR Embedded Workbench for ArmとJTAGエミュレータI-jetが選定され、ソフトウェアの開発全般に利用されました。

mhi-robot

OS選定と同時にツールも選定できた

自律走行および複数台による協調走行が可能な消防ロボットの台車制御ユニットを開発するにあたって、Arm Cortex-M7プロセッサ搭載のSTM32ファミリ(STマイクロエレクトロニクス社)と、国産のリアルタイムOSであるμC3 Compact(イー・フォース社)の組み合わせを選択しました。そして、ソフトウェア開発ツールには、STM32ファミリに幅広く対応しており、イー・フォース社のμC3 Compactへのプラグインが予め用意されていたIAR Embedded Workbench for Armを選択しました。

三菱重工コメント:

STM32マイコン向けにリアルタイムOSを選定した際に、過去に使用したOSよりも、最新のマイコンに対応しているものとしてμC3 Compactを検討して採用しました。その時にリファレンスになっていた開発環境がIARの製品で、尚且つOSへのプラグインにも対応していたため、採用を決めました。

 

Armマイコンの開発ツールとして完成されている

ソフトウェア開発チームにとって、基板、マイコンおよび開発ツール自体の外部要因によるトラブルは、プロジェクトの納期に大きく影響するため、発生して欲しくないのが本音だということでした。今回のIAR Embedded Workbench for Armの新規導入に際しては、IARサポートチームへの質問も出ない位にスムーズに進んだためプロジェクトスケジュール面で非常に助かったとのことです。

三菱重工コメント:

消防ロボット向けに新規に製作した基板へのドライバソフトウェアやリアルタイムOSのポーティング作業を、統合開発環境IAR Embedded Workbench for Armで行いましたが、全くトラブルなくスムースに行うことが出来ました。開発を担当したアプリケーション開発エンジニアは『今まで行った開発の中で最も立ち上がりが早かった。』とコメントしています。開発スケジュールに全く余裕がなく、間に合うかどうか心配な状況の中で、ポーティング作業を短期間で完了することができた開発環境には助けられました。これによって我々のエンジニアは自社のアプリケーションソフトウェアのバグ解決だけに専念することが出来たのです。実際、他社製の開発環境では原因不明の問題解決に時間を費やすことが多々あるため、開発現場では大きなストレスを抱えることがありました。

 

メカトロニクスのプロ集団を目指して

三菱重工としての今後の展開について伺いました。

三菱重工コメント:

今回の消防ロボットで製作したシステムは、別のロボットにも展開を検討しています。我々はメカトロニクスのプロフェッショナル集団を目指して活動しており、作って~動かす、まで全てを行うことができるのが強みです。IARには高い使い勝手と信頼性を持ったツールをこれからも提供して欲しいと思います。