IDEC株式会社
「10年前にIAR Embedded Workbenchを採用後、容易な使い勝手、タイムリーなデバイス対応とサポートおよびグローバル市場での高い実績が決め手となり現在もリファレンスツールとして信頼。今後のセーフティおよびセキュリティ対応にも包括的ソリューションを期待。」
IDEC株式会社(以下IDEC)は、FA制御機器全般におけるグローバル企業として、HMIソリューション、盤内機器ソリューション、オートメーションソリューション、安全・防爆ソリューションおよびシステム等を製造、販売しています。IARシステムズ(以下IAR)は、その中でPLC、プログラマブル表示器、スイッチおよび安全機器の開発部門にユーザーインタビューを行いました。
新CPUへの切り替え時に、最も信頼できるツールを選定
IARは36年以上に渡って組込み向け開発ツールを提供しており、その代名詞とも言えるC/C++統合開発環境「IAR Embedded Workbench」は、その高性能、信頼性、市場実績および導入のし易さから、100万件をこえるアプリケーションの開発に使用されてきた。そのためIDECの主力製品のひとつであるプログラマブル表示器のCPU変更の際にも、ユーザが安心して移行することができる開発ツールとして選定されたのである。
IDECコメント:
「今回IARの統合開発環境IAR Embedded Workbench for Armを使用したのはプログラマブル表示器というアプリケーションになります。背景としては、2008年頃に、当時使用していた他社製のマイコンからArmアーキテクチャのマイコンへ変更する際に、開発環境も他社純正のコンパイラから、Arm向けの開発環境への変更を行うにあたって、IARのものを選定しました。
開発側の意向として、ハードウェアとしてCPUおよび周辺部品も変更することになるため、ソフトウェア開発環境は出来るだけリスクの無い変更を行いたかったという事情がありました。商用の主要な開発環境メーカー3社を比較したのですが、品質、パフォーマンスおよびコストのバランスにおいてIARのツールが最も良かったことから選定に至りました。
10年以上安心して継続利用できる、新CPUへのタイムリーな対応が高評価
グローバルで46,000社、15万人を超えるユーザを持つIAR Embedded Workbenchは、その卓越したコード生成機能と品質だけでなく、市場動向に沿ったタイムリーで柔軟なデバイス対応とサポートも高く評価されている。そのため長期ユーザが多く、リピート率は95%を誇っている。
IDECコメント:
「10年前の最初の導入から、トータルで5回程CPUの種類を追加してきましたがIARのツールでの問題は何もありませんでした。また、最新のCPUへのタイムリーな対応と、年々高まる市場での評判もあって、わざわざ他社の開発環境へ乗り換える必要性も感じませんでした。ツールとしての使い勝手もほとんど不満はありません。強いて挙げるなら、エラーメッセージが初心者には分かりにくい点と、バージョン7以降とそれ以前でバイナリ互換性が失われたこと位です。一方で、リンカの設定がテキストベースで分かりやすくなっているので、使いやすいと思います。技術サポート面では、質問が発生するのは年に1回程度なのですが、IARからの直接サポートのため回答も早く、不具合対応もタイムリーに行われるので満足しています。」
Arm Cortex-Aプロセッサ向け開発においても採用
Arm向け開発環境のIAR Embedded Workbench for Armは、ひとつのライセンスでCortex-MだけでなくCortex-RおよびCortex-Aも全てカバーしているため、マイコン開発者も上位のプロセッサを直ぐに評価することが可能である。製品のラインナップが広範なユーザや、ロードマップでローエンドからハイエンドまでの展開が計画されているユーザは、Armアーキテクチャによる共通プラットフォーム化のメリットを、ツール側でも享受することができるのである。
IDECコメント:
「ルネサスエレクトロニクスの新製品としてArm Cortex-Aプロセッサ搭載のRZ/Aマイコンが出た際に、IAR Embedded Workbenchは即対応していたので、試作段階で直ぐに使用することができました。しかも購入していたライセンスはCortex-MマイコンからCortex-Aプロセッサまで全対応していたものだったので、追加のツール購入の手間もコストも発生せず非常に助かりました。」
機能安全対応を実現するための高信頼性ツールとサポートを提供
IAR Embedded WorkbenchにはIEC 61508, ISO 26262, EN 50128 / 50657, IEC 62304といった機能安全規格の認証を取得済みの機能安全版ライセンスが用意されている。しかもArmアーキテクチャだけでなく、ルネサスエレクトロニクスのRX, RH850, RL78およびSTマイクロエレクトロニクスのSTM8といったCPUにも対応しており、ユーザの選択肢を限定しない。2019年初頭からは、日本での活動としてFunctional Safety Expert Group (FSEG)というアライアンスを業界エキスパートの数社で立ち上げ、IARが牽引している。これによって、ユーザが機能安全対応するための課題をツールだけでなく全方位でサポートすることが出来るようになった。
IDECコメント:
「機能安全対応はグローバル市場、特に欧州でビジネスを行うには必須だと考えます。IEC 61508 Version 2以降は、非常に詳細かつ複雑な情報を求められることになるので、サポート体制が整っている会社のツールを使用しなければなりません。もちろん日本語サポートも含めた観点からもIARは候補になります。また、機能安全対応したCPUの自己診断ライブラリをCPUメーカーから提供してもらう必要があるのですが、そこでもIARのツールが推奨になっているのは安心材料です。我々からのリクエストとしては、他社の静的コード解析ツール等とツール間連携が上手く整備されていることが認証を取得する上でも必要になってくるので、その点を提案できるようにして欲しいと思います。」
今後はセキュリティ対応も含めた包括的なツールとして期待
IoT時代になって、産業機器へのセキュリティ実装も必要となりつつある。IEC62443などの産業用オートメーション、制御機器および開発プロセスを対象とした規格にも対応しなければならないだろう。IARは組込みセキュリティ開発環境である「Embedded Trust」および「C-Trust」を2018年にリリースし、市場からの要求にいち早く応えている。ユーザが高品質、セーフティ、セキュリティを実現するためのツールとサポートを今後も継続していく。
IDECコメント:
「10年前の導入からずっと使用してきて、我々にとって重要なツールとなっています。タイムリーなデバイス対応やサポートといった強みは継続して欲しいと思っています。今後はコンパイラという枠を超えて他社ツールも含めた包括的なパッケージソリューションも出して欲しいと期待しています。セーフティやセキュリティといった開発課題や、海外ビジネスの成長などもあるため、グローバル企業であるIARには今後も協力して頂きたいと考えています。」