IARシステムズとスタンフォード ソーラーカープロジェクト
スタンフォード大学のチームは数年にわたりWorld Solar ChallengeプロジェクトにIAR Embedded Workbenchを使用してきました
スタンフォードのソーラーカープロジェクト
最新情報2017~2019年
IARシステムズとSSCP:
1989年に組織されたスタンフォードソーラーカープロジェクト(SSCP)は、スタンフォード大学の学部生を中心に構成された団体で、太陽光発電による電気自動車の設計、製作、テストを2年ごとに行っています。開発終了時にチームはWorld Solar Challengeにエントリし、製作した車両でレースに参戦します。World Solar Challengeはオーストラリア内陸の荒野を3000kmにわたって走り続けるレースで、世界30カ国以上のチームが参戦します。参加チームは太陽光を動力源とする電気自動車の限界に挑み、技術革新に拍車をかけます。IARシステムズは、過去3回の挑戦においてSSCPとパートナ関係を結び、トップクラスの開発ツールであるIAR Embedded Workbenchを提供してきました。このツールは、これまで幾度となく荒野を横断するチームの牽引力となってくれました。
これまで3台の車両に搭載されたシステムの記述、デバッグ、テストには、いずれもIAR Embedded Workbenchが使われています。IARシステムズがSTMicroelectronicsと提携していたことも、IAR Embedded Workbenchを最適なツールスイートとして採用する動機となりました。これは、製作された3台の車両のシステムすべてがSTM32ファミリのマイクロコントローラを使用しており、チームメンバはFreeRTOSとそのカスタムライブラリを組み合わせてシステムのコードを記述していたからです。過去の挑戦を経て、車両の電気システムは劇的な変化を遂げました。すなわち、複数のPCBで構成される分散型システムであったものが、1枚のボード(車載コンピュータ)が車両の頭脳として制御信号を送り、システムのセーフティクリティカルな部分をモニタする、より統合的なシステムへとシフトしました。
SSCPは、車載コンピュータ、ステアリングホイール、バッテリ管理システム(BMS)にすべてSTM32 F4マイクロプロセッサを使用しており、ライトやブレーキから、BMSに関わる安全上重要な検出や絶縁に関する要件に至るあらゆるものを管理しています。IAR Embedded Workbenchについて、電気工学専攻の3年生Ricardo Iglesiasは次のように述べています。「IAR Embedded Workbenchの強みは、その広範なIDE機能にあります。IARシステムズから提供される高速なソースコード解析能力は、組込みコードを開発する際に非常に役に立ちます。勿論、STM32 F4とシームレスに統合化されていることも大きな利点です。」
2019年のボード開発
設計サイクルの短さや、車載用ソフトウェアでは安全性が最重視されることから、使い易いIAR Embedded Workbenchはチームが技術的課題に取り組む上で欠かすことのできないものでした。コンピュータ科学専攻の2年生Daniel Guillenは、その直感的なデザインのお陰で新人である自分もすんなりと作業に入り込むことができたと語っています。「複雑なコードベースを扱う際、ナビゲーションのわかり易さを大いに実感します。IAR Embedded Workbenchなら簡単に使い始めることができ、即座にチームに貢献できるでしょう。」
チームは現在、WSC 2019で好成績を収めるため着々と準備を進めています。学生たちは夜間も週末も作業に費やしており、コードチームは現在、ステアリングホイールと車載コンピュータボードのプログラミングに注力しています。電気チームのメンバは、バッテリ管理システム(BMS)の最新リビジョンをつい最近完成させました。この1枚のボードの動作の鍵となるのは、安全上重要な様々なソフトウェアとハードウェアのチェックです。学生たちは、これらすべてのボードの作業にIAR Embedded Workbenchを使用しています。現在のところ、チームのライブラリは3つの主要グループに分かれています。サードパーティの組込みライブラリ(FreeRTOSオペレーティングシステムを含む)、CAN/SPI/Ethernet用に学内で開発したライブラリとドライバ、ボード固有ロジック用のライブラリです。IARシステムズは、ファイルの構造化用の便利なインタフェースによって、これらのライブラリの開発・使用をスムーズに行えるようにしました。
車両試作品:挑戦的な弾丸型のカーデザイン
これまでの車両は、すべて流線形の双胴船型デザインでしたが、2019年の車両は弾丸形の単胴船型で、SSCPの史上最も細身で最も挑戦的なスタイルをしています。野心的な空力設計に加えて、コードおよび電気担当チームは車載コンピュータ用の新たなセンサと、ライト用の新たなコントローラを追加したほか、新しい手動制御スロットルの作製や、BMSのスタートアップロジックの変更を行いました。2019年型車両の外観は従来の車両と大きく異なるものとなりましたが、SSCPの信条は、プロジェクトの発足した1989年以来のイノベーションとコラボレーションの精神に基づいていることに変わりはありません。SSCPに参加する学生の献身と創造性、そしてIARシステムズなどの業界リーダからの支援は、今後もオーストラリアの荒野に挑戦するチームの推進力となっていくでしょう。